第25講 n進数の演算---その1 加法
第1話 n進数の演算研究の意義
前講の最後に、申し上げた通り、
n進数の演算(加減乗除・平方根・累乗等々
は、
巨大整数の演算の基礎になるものです。
というより、もっと正確に言えば同じものであり、
n=10とするだけで、巨大整数の演算に変身します。
巨大整数の演算によって、
何百桁の素数でも作り出すことが出来ますから、
現代社会の基盤であるITを根底から支える研究に繋がっています。

long long型の整数等をつかっても19桁以下までの整数しか扱えませんが、
第25講から第29講までの結果を使えば、
理論上は、1億桁の整数も扱えるようになります。
途方もなく、大きな整数が扱えるようになることが分かります。
あなたが研究を続けていけば、
巨大素数の記録樹立者になる可能性があるのです。
1つ手前の世界記録は、世界中のコンピュータを使って成し遂げ、
最新の世界記録は、
800台のコンピュータを協力させて作り上げたということですが、
今までの本講義の各種魔方陣の研究を見ればお分かりのように、
プログラムの仕方によって、
演算速度は、1億倍にも1京倍にもなります。
画期的なプログラムを思いつけば、
あなたが人類史上に時期を画す驚異的な記録を作り出せる可能性があるのです。
ですから、これから5つの講(現時点の予定、6,7講になる可能性も!)
で扱う研究は、つまらない課題ではなく、大変大変意義のある研究です。

前にも申し上げましたが、
情報のセキュリティは、
2つの巨大整数の積からなる巨大整数を、
因数分解するには、
スパコンを使って計算させたとしても、
数万年単位の時間がかかることによって守られています。
ハッキング等をするには、
非公開の暗号鍵となっている素数を見つけなければなりません。
現在の研究では、
その素数を短時間で見つけ出すことは不可能であるとされているのですが、
ひょっとするとまだアイデアが足りないだけかも知れません。
そうではないことを証明するには、
いかなる工夫をしても、
巨大な素数の積できで出来ている巨大整数の素因数分解は、
難攻不落城であることを示す必要があります。
暗号の攻略法を研究することは、
セキュリティをより安全にするために、
不可避の研究であり、
人類史的なレベルの重要な研究なのです。




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