自民党改憲勢力が声高に主張する「GHQの押しつけ憲法」という大変幼稚な見解に対する反駁
はじめに
 本来は、余りにも幼稚すぎる見解であり反論のために時間を潰したくはないが、国民に対してある程度の影響を与えている見方であり、この稚拙な主張を批判しておくことは,まったく意義のないことでもないであろう。押しつけ憲法論がなぜ幼稚なのか。理由は2つある。第1は、歴史の本質をまったく理解していないということである。歴史を力でねじ曲げたとしても、押さえられるのはほんの一時期で、歴史が本来歩むべき途に戻されてしまうことは当たり前の話である。ドラマのセリフを借りるなら、歴史の修正力は絶対なのである。歴史とは、人々の思いつきで動くものではなく、必然性および客観性をもつものである。歴史が運動法則をもち、運動法則に従って発展していくことは、ヘーゲルやマルクスが証明しており、ほんの少しも疑う余地はあり得ない。歴史の発展が鉄のような必然性をもつことを否定することは、人類が何千年もかけて構築してきた歴史哲学を踏まえない愚かな行為である。力で押さえつけようと、アメリカがアフガニスタンなどに空爆をしたが、テロリズムは撃滅できたどころか、逆にIS(イスラム国)を生じさせ、アメリカやヨーロッパは反って、テロに悩まされている。どのような局面であっても、歴史の運動法則は自己を貫くものなのである。GHQが仮に押しつけたとしたら、どうして70年もの長い期間にわたって、日本に定着したのかが、まったく説明がつかない。
 第2に、憲法制定過程を踏まえていないという点である。戦後すぐに何十もの民間草案が作られていたことは、広く知れ渡っている。社会党や共産党などの政党だけでなく、民間の憲法研究会が多数存在して、それぞれが憲法草案を起草したのである。QHQはこれらの民間草案を参考にしてGHQ案を作成したわけであるが、特に参照した草案は鈴木安蔵憲法研究会の憲法草案だったのである。鈴木研究会のメンバーは、全員が当時にすれば進歩的な思想の持ち主で、大変民主的な考え方をしていた。特に、メンバーの1人である、というより憲法研究会を立ち上げるように鈴木に働きかけた高野岩三郎は、現在の日本国憲法を遙かに上回る民主的な憲法草案を研究会に提出している。高野案は、国民主権や自由や平等などの人権はもちろんのこと、社会権も保障する内容で、さらには天皇制を廃止して共和制するという、進歩的な憲法研究会の中でも、もっとも先進的な草案であった。ハーバード大学法学部出身者などのエリートを多数そろえていたとはいえ、憲法の専門家が1人もいなかったGHQが、たったの1週間で原案を作れたのは、鈴木研究会などの憲法草案を参照出来たからなのである。GHQのスタッフは、自民党改憲勢力とは違い歴史を熟知していた。日本の歴史の発展段階に相応しない憲法を押しつけることは、出来ないことを理解していたのである。日本の実態に合った憲法を研究するために、各憲法草案を把握しておくことは絶対に欠かすことの出来ない要件だったのであり、マッカーサーから1週間で憲法の原案を作れと命じられたGHQのスタッフ達が、最初に行ったことは、各政党や民間団体の憲法草案の渉猟だったのである。
 そして、その民主的な憲法草案も明治時代以降の自由民権運動や大正デモクラシーなどの民主主義運動や戦前・戦中の平和運動の礎があったからこそ、起草できたのだということは忘れてはならないことである。たったの数ヶ月で民主的な草案を起草できたわけではなく、明治時代初期からの市民の民主的な権利を勝ち取るための長い長い運動の歴史があって、その歴史の集大成として起草できたわけだ。歴史を研究していけば、日本国憲法発布という革命的な出来事が起きたのは、GHQによって押しつれたから起きたのではなく、必然であったことが次第に究明されていくであろう。戦中は、情報統制によって国民のほとんどがマインド・コントロールされていたというゆがんだ歴史観が広範囲に信じられているが、実際には、国民は政府に対して批判的な見解を抱いていたというのが正しい見方である。民主主義の運動に携わった人のみではなく、普通の国民も「国家神道による国家支配=日本型ファシズム」に、心の中では疑問を抱いていたわけだ。特高が存在しているために、声高には言えなかったとしても。日本国憲法に展開される民主主義の考え方を懐胎していた・・・これが歴史の真相なのである。つまり、革命のエネルギーが確実に蓄積されていたのである。
 しかし、本研究はそのような長い射程距離を有する研究ではなく、憲法の制定過程に焦点を絞り、押しつけ憲法論がただの虚構にすぎないことを明らかにすることを課題とするものである。私は、憲法学者ではないので、制定過程の研究に0.01%でも貢献出来るとは考えてはいない。先ほど数十にも及ぶ民間草案が存在していたことは、広く知れ渡っていると述べたが、それはあくまで憲法研究者などの専門家に対してであって、一般の国民にはこの真実が遍く知られているとは言いがたいであろう。したがって、本研究は研究自体の進展を目的とするものではなく、制定過程の実相を普及していくことを任務とするものである。

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