以下は2013/08/24に
Twitterでつぶやいたものを
ほぼそのまま編集を加えず
掲載したものです。
数学の答えは1つ」という俗論
批判を加えています。

あなたは数学は好きですか。「数学は答えが1つだから好き」という人と「数学は答えが1つだから嫌い」と答える人が大半ではないでしょうか。 
 
大変申し訳ないのですが、いずれの答えも大変な誤解です。 
 
数学の答えは、1つではありません。無数に存在します。 
 
答える人の数だけ、答えは存在します。 
 
数学とは、工夫しただけ、努力しただけ、応えてくれる教科なのです。 
 
先に、答える人の数ほど答えは存在すると書きましたが、正確には、同じ人でも努力するだけ、工夫するだけ、対応する答えが存在します。
 
ですのに、なぜ「数学の答えは1つである」という考え方が流布してしまったのでしょうか。
 
答えはお分かりでしょう。
 
左脳一辺倒の数学教育が原因です。左脳一辺倒は、論理一辺倒・形式一辺倒だけでなく、結果一辺倒を導いてしまうのです。
 
数学の問題を解くときに、結果すなわち結論も重要です。ですが、それに負けず劣らず結論に至る過程も大切なのです。 
 
左脳一辺倒は、結果一辺倒すなわち結論一辺倒を導いてしまっています。 
 
本来結果オーライという考え方は、間違っています。 
 
スポーツで言えば、勝負の結果だけでなく、勝負の内容が大切である・・・これは自明です。 
 
仕事でも結果だけでなく結果に至る過程が肝要です。 
 
結果至上主義は、特殊資本主義的考え方です。つまり、歴史上では、ほんの一時期の例外的考え方です。 
 
話を数学に戻しましょう。あなたは「中学数学と高校数学の違いは何か?」と聞かれましたら、なんと答えますか。 
 
現在の数学教育は結果一辺倒になっているという主張と少し矛盾しますが、傾向として中学までは結果のみで評価され、高校では結論至る過程=論証が重視される、と答えましょう。 
 
現在の数学教育は、問題点だけでなく、問題を止揚するための萌芽を含んでいます。
 
ヘーゲルは言っています。「肯定的なものはすべて否定的であり、否定的なものはすべて肯定的である」と。 
 
物事はすべて肯定的側面と否定的側面を持っています。 
 
現代数学教育も同様なのです。 
 
問題を抱える現代数学教育でありながら、問題をクリアするための萌芽を、自分自身を乗り越えていく潜在的エネルギーを自分自身の中に持っているのです。
 
自分自身を乗り越えていく潜在的エネルギーを自分自身の中に持っていないなら、私がいくら声高に左脳一辺倒打倒とっても意味がありません。 
 
話を戻しましょう。証明問題を考えてください。証明問題は、結論は最初からわかっています。 
 
証明問題は、結論に至る過程がすべてです。 
 
私は、算数や数学の答えは、結論を含む結論に至る過程全体であると、主張したいのです。 
 
ところが、結論を答えだと教えてしまった・・・
これが「数学の答えは1つである」という誤った考え方が生まれる原因です。 
 
算数においても、中学数学においても、本来は結論に至る過程が大切なのです。 
 
本来の姿からいえば、算数も中学数学もすべて論証問題にすべきなのです。 
 
高校数学においては、基本的には結論だけ書いても1点ももらえません。算数や中学数学も結論に至る過程が書いてないものは0点とすべきなのです。 
 
中学数学でも最近では、考え方を書く問題が増えてきていますし、算数の文章題では式を書かせています。ですが、不十分です。 
 
論証全体が答えである・・・この考え方が広まっていれば「数学は答えが1つである」 などの考え方は存在していなかったはずです。 
 
小学生・中学生の表現力を考えれば、高校数学のように論述させることは、確かに不可能です。 
 
ですから、算数の場合は式と答えで採点してもやむを得ない側面もあるわけですが、できればその式を立てた考え方や図も記入するようにして、結論だけでなく、結論に至る過程が重要であることを教えなければならないのです。
 
鶴亀算を例に説明しましょう。鶴と亀がいて頭の総数が5で、足の総数が14である場合、鶴は何羽で亀は何匹でしょう、という問題を考えてください。 
 
鶴亀算は、脳生理学者の京都大学名誉教授品川に左脳一辺倒の悪問だと酷評されましたが、私は教え方によっては左脳一辺倒を変える良問になると思っています。 
 
頭の総数が5で、足の総数が14である・・・何羽何匹いるでしょうか。 
 
普通次のように答えて終わりです。
5×4=20
20-14=6
6÷(4-2)=3
5-3=2
答え 鶴3羽 亀2匹
 
私なら、次のように指導するでしょう。
 
 
 
 
仮に全部亀なら
 
 
4×5=50
 
 
 
実際には14
 
 
 
20-14=6
 
 
 
 
20-14=6 差が生じた理由は鶴がいたから。
 
 
 
 
亀と鶴の足の差4-2
 
 
 
 
 
よって、
6÷(4-2)=3
が鶴。
5-3=2
から亀2
 
 
 
以上の答え方は1例です。
図は鶴の絵と亀の絵でも良いのです。あるいは、面積図で良いのです。 
 
文章で説明しても良いでしょう。  
 
次のように考えても解けます。亀が、2本足を甲羅の中に入れたら、
5×2=10
 
 
差14-10=4が生じるのは、亀は実際には4本の足を甲羅から出しているから。
 
4÷(4-2)=2から亀は2匹 
 
1つの問題をいろいろな考え方で解く、このことによって右脳と左脳が鍛えられるのです。 
 
模式図や鶴と亀の絵を描くことによって右脳が稼働します。
 
 
考え方を文章で表現しようとすれば左脳が稼働します。 
 
その結果両脳が鍛えられるのです。 
 
模式図・絵や文章も答えを構成する大事な要素と考えれば、児童の数だけ答えが存在することになります。
 
結論を答えであると教えてしまったことにも現代数学教育の悲劇があります。
 
脳生理学者の京都大学名誉教授品川は、亀が足を引っ込めなんてことは現実にないので、イメージが形成できないとしましたが、想像の世界は自由です。亀が2本だけ足を甲羅の中に入れているなど想像することは楽しいことです。鶴亀算は、教え方によっては右脳を十分刺激するのです。
 
想像の世界は自由です。鶴の足が4本あると想像しても良いのです。先入観にとらわれず、自由にイメージを働かせる!右脳数学の真骨頂です。 
 
算数数学を正しく指導すれば、創造力を鍛えることができるのです。

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