5章 小ステップ教育
 ではどのような工夫をすれば良いであろうか。どのように指導すれば良いであろうか。基本的な視点は、生徒の立場に立つことである。生徒の目の高さに立つことである。教材を生徒にとって簡単なものから、より高度なものへと作りなおさなければならない。これは、教科書の順番の通りに指導するということではない。教科書は、事象的な関係によって並べられている。しかも、教科書の記述はあまりにも飛躍が大きいのである。飛躍をなくし、生徒にとって簡単な問題から難しい問題へと編成し直さなければならないのである。そして、うまずたゆまず繰り返し繰り返し指導することが必要である。このような工夫によって高校数学を指導することは可能なのである。
 ここで誤解を避けるために断っておこう。高校数学を指導できるといっても、受験に対応できるという意味ではない、ということである。たとえば、XX高校の上位の生徒だけをマンツーマンに近い形で指導すれば、可能であるかもしれないが、それではXX高校の存在意義を失ってしまう。むしろ中学時代、先生たちにあまり相手にしてもらえず、自信を失っている生徒たちにこそ愛情を注ぐべきである。標準は、中より下の生徒にあわせるべきである。では、最下層の生徒はどうすべきか。最下層の生徒は、放課後残すなどしてマンツーマンに近い体制で指導するしかない。最下層の生徒は、教室における一斉指導では限界があるからである。
 さて、実際にわれわれがどんな指導をしているのか実践から報告したい。われわれが行っている指導を、小ステップ教育と呼んでいる。小ステップ教育の中でも特に大きな成功をおさめた2次関数の最大値・最小値を求める問題を例に取りたい。
 これから小ステップ教育を述べていくがその際に、大事な注意についてのべておきたい。まず第一に、本質的でない事で生徒に難しいと感じさせてはならないというである。例えば、2次関数の最大最小の問題で分数などは必要ない。問題及び答えが、整数になるように工夫することが大切である。指導者は2次関数の最大最小の問題に比べれば、分数などとるに足りないことだと思っている。だが、生徒はそうではない。事象的にはまったく同じでも、分数が入るだけで大変高度なことをやっていると思い込んでしまう。逆に言うと、レベルの高い生徒には分数の問題を与えると良い。高度な問題をやってると錯覚するからである。学力差に対応するための一つの工夫である。第二に、ステップはできるだけ小さくするということである。ステップの飛躍を可能な限りなくすことである。新しいステップには2つ以上の要素を挿入しないようにしなければならない。同じような問題ばかりやっていたら生徒が飽きるのではなどと心配する必要などないのである。標準の学力に達しない生徒たちは、比較的単純な作業に耐え続けることができる。耐え続けるというより、むしろ喜んでやり続けることができるといったほうが良い。計算は彼らにとって楽しい作業なのである。だから、ステップをできるだけ小さくすることが必要である。第三の注意に入ろう。これはきわめて大事なことである。この論点だけで、一つの著書が書けるほどである。それは、右脳と左脳の協力ということである。現在の数学教育は、左脳の教育に偏りすぎている。あまりにも論理的な操作に偏りすぎているのである。イメージや直観が軽視されているのである。しかし、数学に必要な能力は抽象化・形式化・論理化の能力だけでなく、具体化・具象化・直観化の能力も重要である。イメージを育てる教育が必要なのだ。実践例に即して具体的に言うならば、式とグラフを結びつけることが肝要である。安易な指導は手順化である。言い換えればアルゴリズム化である。これらは左脳的な指導である。直観と論理の結合こそが肝要なのである。右脳と左脳の協同に心がけなければならない。(右脳数学・直観数学構想を参照)
 注意は終わりにして実践の報告に入ろう。問題は次のような、問題である。



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