3.C=120°の場合
ここで,
x=z−α,y=β−zとおくと,
これを展開してzについて整理すると,
これはC=60°の場合と全く同じ式である。
以下の議論もほとんど同じになるが,yの置き方が違っているので若干異なる。
ここで,α+β=0のとき,α=0またはβ=0であるが,β=0とするとy=−zとなり,y,zが正の有理数であるという仮定に反する。α=0とすると,x=zとなりCと底角とする2等辺三角形になるが,これはC=120°に反する。よって,α+β≠0
したがって,
以下方法は2つある。一つは,C=60°の場合を踏襲する方法(T)であり,もう一つは分母α+βが約分によって消えるようにしてやる方法(U)である。
T C=60°の場合を踏襲する方法
それぞれの両辺にα+βをかけると,
A
(α+β)z,(α+β)x,(α+β)yをそれぞれ,z,x,yと置き直すと,
z>0,x>0,y>0の条件からβ>0ならば0<α<β/2であり,β<0ならばβ/2<α<0
したがって,
となり,x,y,zは三角条件を満たしている。β≠0であるので,正の有理数解(x,y,z)は無限に存在することすなわち自然数解(x,y,z)は無限に存在することが示された。
U 分母α+βが約分によって消えるようにしてやる方法
(p,q,rは適当な有理数)とおいて,分母が消えるようにp,q,rの値を決める。Aの式に代入すると,
後半のわり算を実行すると,商がで余りがである。よって,割り切れるための条件は,q=−1,r=0である。このとき,
両辺をp倍して、それぞれを改めてz、x、yとおくと
よって,p>0のときは十分大きいαに対してz>0,x>0,y>0であり、p<0のときは十分小さいαに対してz>0,x>0,y>0である。
また,
より,p>0のときは十分大きいαに対してx+y−z>0であり、p<0のときは十分小さいαに対してx+y−z>0を満たし,x,y,zは三角条件を満たしている。
以上より自然数解(x,y,z)は無限に存在していることが示された。いくつかの解を示してみよう。
@
p=1のとき
@ α=4とすると
z=7,x=3,y=5
よって,(3,5,7)
A α=5とすると
z=13,x=8,y=7
よって,(x,y,z)=(8,7,13)
B α=6とすると,
z=21,x=15,y=9
よって,(x,y,z)=(5,3,7)
C α=7とすると,
z=31,x=24,y=11
よって,(x,y,z)=(24,11,31)
D α=8とすると,
z=43,x=35,y=13
よって,(x,y,z)=(35,13,43)
E α=9とすると,
z=57,x=48,y=15
よって,(x,y,z)=(16,5,19)
A
p=2のとき
@ α=3とすると,
z=21,x=15,y=9
よって,(x,y,z)=(5,3,7)
A α=4とすると,
z=43,x=35,y=13
よって,(x,y,z)=(35,13,43)
B α=5とすると,
z=73,x=63,y=17
よって,(x,y,z)=(63,17,73)
C α=6とすると,
z=111,x=99,y=21
よって,(x,y,z)=(33,7,37)
D α=7とすると,
z=157,x=143,y=25
よって,(x,y,z)=(143,25,157)
E α=8とすると,
z=211,x=195,y=29
よって,(x,y,z)=(195,29,211)
@
Aは重複があるが,明らかに違う無限系列を作り出している。βの値によって無限系列が異なるので,無限系列は無限種類存在することになる。
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