魔方陣パズル第2話 魔方陣パズルの解き方(1)
16 | 1 | 3 |
5 | 11 | 10 |
9 | 7 | 2 |
それではこのパズルを解いてみましょう。
最初に考えなければならないことは、
行・列・対角線の合計と平均がいくつになるかということです。
合計は次の計算から求めることができます。
(1+2+3+4+5+6+7+8+9)÷3=15
行・列・対角線などの平均を求めるには、
合計をさらに3(行数または列数)で割ればよいのです。
15÷3=5
となり、それが行・列・対角線の平均となります。
1から9までの数字の中で平均と一致する数字は5のみです。
平均と一致する数字をこのサイトではスペシャルと呼ぶことにします。
それ以外は単独では一致しませんが、
(1,9)、(2,8)、(3,7)、(4,6)は2数の平均が5に一致します。
自分とその数の平均が行などの平均と一致するとき、
その数を自分の補数といいます。
例えば、9は1の補数です。
5と補数の組を組み合わせると平均がちょうど5、和が15になります。
問題は5をどこにもっていくかです。
a | 1 | b |
c | d | e |
f | g |
2 |
aからgまでの条件式は
a+b=14
c+d+e=15
f+g=13
a+c+f=15
d+g=14
b+e=13
a+d=13
b+d+f=15
です。この連立方程式を解けばよいのですが、
普通に解いたのではパズルではなく数学の問題になってしまいます。
それに計算量も膨大な量になってしまいます。
それで工夫して解きましょう。
解くときに工夫がなければパズルとは言えません。
一番条件の多いセルは何でしょうか。
aからgまでそれぞれが登場する式がいくつあるか数えてみると、
a3回、b3回、c2回、d4回、e2回、f3回、g2回
です。
3回登場するa、b、fは縦(列)の条件、横(行)の条件、対角線の条件の3つがあるからです。
2回しか登場しないc、e、gは縦(列)の条件、横(行)の条件の2つしかありません。
そして、一番条件がキツイのは2つの対角線が交差しているdです。
dにおいては、縦(列)、横(行)の条件と2つの対角線の条件の4つの条件があるからです。
複雑な問題を解くためのコツは、最も条件のキツイ場所から攻めていくことです。
私は、学校において長年時間割の係をやっていますが、
場所(本校は体育館が2つありますが、雨の日のことを考えると男女に対応するために
2つの体育館が必要ですから体育は1展開しかできません。)、
複数クラス、複数の先生が担当する体育が一番条件がキツイのでここから決めていきます。
これを後に残したのでは後で動きがとれなくなってしまうからです。
条件のきびしい教科や科目から入れていき、条件の最も少ない科目を入れれば
非常に難解なパズルである時間割が組めるのです。
最も解答=時間割の組み方は、おそらく6次魔方陣の解答数を遙かに上回るほどありますから、
厳密に言えばこのサイトで定義するパズルではありませんが。
話を元に戻しましょう。
縦、横の条件があって、対角線の2つの条件があるdが一番条件のキツイセルです。
だから、ここから埋めていきます。
一番条件がきついところを埋める有力候補は、
それ自身が行、列、対角線の平均になっている5です。
まず5を入れてみましょう。
もし、うまくいかなければやり直すだけです。
a | 1 | 6 |
3 | 5 | 7 |
4 | g | 2 |
5を入れた後ピンクのところは自動決定です。
5を使っているので、残りの2つは2つの平均が5になる補数の組を入れなければならないからです。
gには1の補数の9、aには2の補数の8が入ります。
8 | 1 | b |
3 | 5 | 7 |
f | 9 | 2 |
次は、8+1+bが15になるようにbのところに6、
f+9+2が15になるように4を入れます。
8 | 1 | 6 |
c | 5 | e |
4 | 9 | 2 |
最後に8+c+4、6+e+2のそれぞれが15になるように3と7を入れて完成です。
8 | 1 | 6 |
3 | 5 | 7 |
4 | 9 | 2 |
真ん中のセルdがおそらくスペシャルである5であろうというのは仮説です。
パズルを解くときには、仮説や勘が必要でしょう。
仮説を立て実際にやってみる。
うまくいかなければやり直す。
この試行錯誤がなければパズルとは言えません。