ずらし法で偶数次魔方陣を作ろう! その1


今回は、ずらし法で偶数次魔方陣を作ってみよう。
まず、偶数とは何かな。
前回が奇数で、今回が偶数だから予想がつくよね。
奇数は2で割りきれない整数だったから、当然偶数は2で割り切れる整数。
したがって、2,4,6,8,・・・がそれだ。
さらに、断っておくとこのこれから解説する方法では、
4,8,12,16,・・・といった4の倍数のみしかできない。
つまり、6,10,14,・・・などはずらし法では僕の研究した範囲ではできない。
だから見出しは正確には4の倍数次魔方陣を作ろうだ

偶数次魔方陣は、奇数次以上の工夫がいる。
できる魔方陣数は、奇数次より制約されているのでより少ない。
といっても、12次魔方陣あたりでは天文学的な数字にはなる。

偶数次魔方陣の作り方を説明する前に言葉の約束事をしておこう。
魔方陣種における補数を定義しておく。
n次魔方陣種のおけるaの補数をn−1−aと定義する。
4次魔方陣種における2の補数なら4−1−2=1だ。
11次魔方陣種における3の補数なら11−1−3=7
つまり互いに補数になっている2数を足すとn−1となる。
11次魔方陣なら補数の和は10。
11次魔方陣種を作るには、0,1,2,3,4,・・・,9,10の数字を1行目に入れるわけだが、
10とは最大の数である。
11次場合の補数の組は(0,10)(1,9)(2,8)(3,7)(4,6)
4次の場合なら(0,3)(1,2)である。
8次なら(0,7)(1,6)(2,5)(3,6)。合計がすべて8−1=7になっているよね。

これから4の倍数次魔方陣の作り方を説明するが、現時点では理解できなくても全く問題ない。
後の4次や8次の具体的な場合の説明を読めば、理解できるはずだからだ。
算数や数学も推理小説と同じで最後まで読まないとわからない場合も多いんだよ。
だから、授業ときわからないことを理由に聞かないのはだめだよ。
(僕の前で、わからないから聞かなかったといういいわけをいうと、その生徒は激怒される。
わからないからこそ聞くんだよ。)
理解できなかった場合すべて読んでからここに戻って読んで欲しい。
意味が明瞭になるはずである。

2×n方陣の作り方をまとめておこう。(nは偶数。2,4,6,8,・・・である。)
まず1個目の種を次の手順で作る。
1行目に入れることのできる順列に大きな制約がある。
前半のセル(ます)には1つの制約があるだけで自由に入れられる。
後半のセルはn個前のセルに入れた整数の補数を入れなければならないので、一通りに決まっている。
前半のセルの制約とは、前半のセルの中に補数の組が存在してはならないというものである。
8次を例にすれば(0,7)などの組が前半のセルの中に入っていてはいけない、ということだ。
1行目にすべての数字が入れられたら2行目以降は2ずらしを行う。
2個目の種は1個目の種を縦横を逆にする。すなわち、行を列にするということ。
そして、2つを合成すれば完成。しかも、これは普通の魔方陣ではない。
何ができるかは乞うご期待。


では4次魔方陣を作ってみよう。
1行目の前半2つのセルには、0〜3から補数の組でない2つを自由に選べる。
禁止の組は、03,30,12,21である。これらは互いに補数である。
だから、4次の場合前半のセルに入れることのできる数字の組は01,10,02,20,13,31,23,32
ここでは01を入れるとして説明しよう。小中学生の諸君は、他の組で挑戦!

後半のセルは2個前のセルにはいっている整数の補数が入るので、
3個目のセルは0の補数で3と自動的に決まってしまう。
4個目も1の補数で2。

後は2ずらしをして


これで1個目の種の完成

2個目は、縦横を逆にする。

1行目が1列目、2行目が2列目、3行目が3列目、4行目が4列目になっている。
(前にも言った通り、行とは横、列とは縦を指す。)
このように行と列を反対にすることを転置するという。

2つの種は、幸運なことに直交している。
合成して

 1  8 13 12
14 11  2  7
 4  5 16  9
15 10  3  

この魔方陣はなんと!!!
この魔方陣には驚くべき秘密がたくさん隠されている。
(僕も本当のことを言うと、これを書いている今か気がついたんだよ。)
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